RPOとして様々な企業の採用支援をしていると、毎日のように職務経歴書に目を通します。企業によって求める人物像は異なります。それでも、書類選考をしていると毎回のように感じることがあります。優秀そうなのに、うまく伝わっていない。そういうケースが意外と多いのです。
一方で、必ずしも華やかな経歴ではなくても、ぜひ採用部門の方に会っていただきたいと思う職務経歴書もあります。その違いは、単純な経歴の強さだけではありません。今回は、日々書類選考をする中で感じていることについて書いてみたいと思います。
大雑把すぎても伝わらない
職務経歴書で最も多いのが、何をしていたのかが分からないケースです。
- DX推進を担当
- PMとして複数案件を担当
- 業務改善を推進
- 新規事業開発に従事
これらは決して間違った表現ではありません。しかし採用側からすると、具体的に何をしたのか、どんな役割だったのか、どの程度の規模だったのかが分かりません。
職務経歴書は、事実をすべて書く必要はありません。ただし、読み手がイメージできるだけの情報は必要です。採用担当者や面接官は、実績そのものだけでなく、その成果をどのように生み出したのかを知りたいと思っています。
細かすぎても伝わらない
逆のケースもあります。非常に丁寧に書かれているのですが、細かすぎて本質が見えなくなっているケースです。特に専門性の高い職種ではよくあります。
プロジェクトの工程や利用ツール、技術用語が大量に並び、経験の深さは伝わるものの、読み手が理解できなくなってしまうのです。
専門的な内容を書くことが悪いわけではありません。むしろ専門性は積極的に書くべきです。ただし、職務経歴書を読むのは必ずしも同じ専門領域の人だけではありません。採用担当者が最初に見ることもありますし、事業責任者や役員が目を通すこともあります。
だからこそ重要なのは、何をやったかだけでなく、なぜその取り組みが重要だったのか、どのような価値を生み出したのかまで伝えることです。
また、必要以上に顧客名や機密情報に近い内容を詳細に記載している場合、読み手によってはリテラシー面を懸念されることもあります。情報量が多いことと、伝わることは別です。
採用部門が会いたくなる職務経歴書
私が書類選考で重視しているのは、採用部門の方に会ってもらいたいと思えるかどうかです。その際に見ているのは、経歴の派手さではありません。
- どんな課題があったのか
- 自分はどんな立場だったのか
- 何を考えたのか
- 何を行動したのか
- 結果どうなったのか
面接では、こうした内容を深掘りしていきます。そのため、職務経歴書の段階でストーリーが見えると、もっと詳しく聞いてみたいという気持ちになります。
成果だけが並んでいる、担当業務だけが並んでいる状態だと、面接で何を深掘りすべきかが見えません。実際、書類選考を通過しやすい方の職務経歴書は、自然と面接で聞きたいポイントが見つかります。
経験が豊富な人ほど、整理することが大切
以前、非常に優秀な経歴をお持ちの方の職務経歴書を拝見したことがあります。研究開発、技術戦略、新規事業開発、経営企画など、多岐にわたる経験を積まれており、どの経験も非常に魅力的でした。
一方で、読み終えた後に感じたのは、この方の一番の強みは何だろう、ということでした。
経験が豊富な方ほど、伝えたいことも増えます。その結果、職務経歴書に多くの情報が盛り込まれます。しかし、読み手はその情報を整理する前に判断しなければなりません。
職務経歴書は、経験をすべて並べる場所ではありません。自分の強みを伝えるために、経験を整理する場所です。
経験が多い人ほど、何を書くかよりも何を残すかが重要になるのかもしれません。
職務経歴書は過去だけを書く場所ではない
もう一つ、個人的に重要だと思っていることがあります。それは、これから何をやりたいのか、です。
職務経歴書には過去の経験が書かれています。もちろん、それは非常に大切です。しかし、採用は過去を評価するためだけに行うものではありません。企業は、入社後に活躍してくれる人を採用したいと考えています。
- なぜそのキャリアを歩んできたのか
- どんな意思決定をしてきたのか
- 次に何を実現したいのか
特に経験豊富な方ほど、これまでのキャリアと今後のWillのつながりが見えると、採用側は将来の活躍をイメージしやすくなります。
私が本当に知りたいこと
書類選考で見ているのは、実績やスキルだけではありません。私が本当に知りたいのは、その成果に再現性があるのか。どんな環境で強みを発揮できるのか。そして、これから何を目指しているのか。です。
職務経歴書は、自分がやってきたことを並べる資料ではありません。私はこういう人間で、こういう価値を出してきて、これからこうなりたい、を伝える資料です。
採用担当者や面接官は、過去の経歴そのものではなく、その人の再現性と可能性を見ています。
もし職務経歴書を書く機会があれば、一度だけ立ち止まって考えてみてください。その職務経歴書は、あなたの経験を説明しているでしょうか。それとも、あなた自身を伝えているでしょうか。

