スカウトを送る側・受け取る側、両方の立場になって思うこと

以前参加した採用セミナーで、今でも印象に残っている言葉があります。「求人票は採用要件を正しく書くことも大切ですが、まずは『応募してみよう』と思ってもらえるコミュニケーション設計が重要です」。当時は求人票の話として聞いていましたが、RPOとしてスカウトを送る立場になり、また一人のビジネスパーソンとしてスカウトを受け取る立場にもなった今、その意味を改めて実感しています。「何を伝えるか」だけでなく「どんな順番で伝えるか」。この考え方は、スカウトメッセージにもそのまま当てはまります。

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「ご経歴を拝見しました」だけでは、少し物足りない

スカウトでよく目にするのが「ご経歴を拝見し、ご連絡いたしました」という一文です。経歴を確認した上で送っていることは伝わります。ただ、受け取る側としては、その次に知りたくなることがあります。「どこに興味を持って連絡をくれたのだろう?」ということです。

たとえば、ほんの一文でも
「○○のプロジェクトで培われたご経験に」「△△の立ち上げフェーズをリードされたご実績に」——そんな一文が続けて差し込んであるだけで、「きちんと自分のことを見てくれたんだな」と感じます。

長い文章を書く必要はありません。大切なのは「あなたにご連絡した理由」が伝わること。その一文があるだけで、スカウトは「誰にでも送れる文章」から「自分に向けられたメッセージ」へと変わります。

送り手の合理性と、受け手の心理は少し違う

人材紹介会社から届くスカウトで、個人的にもったいないと感じることがあります。求人の説明もそこそこに、最初のメッセージから面談日程の調整まで進めようとするケースです。

受け取ると急かされる印象のパターン
「ぜひ本件についてご説明のお時間を頂戴したく存じます」
「ご都合のよろしい日時をご教示ください」

送り手の気持ちはよく分かります。限られた時間で多くの方と接点を持ちたい。返信をいただけたなら、そのまま面談までつなげたい。採用支援をしている私自身も、その考え方は理解できます。

ただ、受け取る側の心理は少し違います。メッセージを開いたばかりで、会社のことも求人のことも送り手のこともまだよく分からない。その段階で「まずはご説明させてください」と言われても、気持ちはまだそこまで進んでいないことが多いのです。

候補者には、候補者の意思決定の流れがある
  • まずメッセージを読む
  • 少し興味を持つ
  • 求人を見てみる
  • 会社について調べてみる
  • そして「話を聞いてみようかな」と思う

この順番を飛ばしてしまうと、送り手としては合理的でも、受け手からすると急かされているような印象を受けてしまいます。コミュニケーションは、送り手の効率だけで設計するものではありません。相手の心理や意思決定の流れを想像することも、同じくらい大切だと感じています。

「For You」があるスカウトは、最後まで読んでしまう

企業から届くスカウトでも同じように感じることがあります。会社概要や募集背景、仕事内容、期待する役割など、必要な情報は丁寧に書かれている。一方で、最初に知りたいのは「なぜ私だったのか」ということです。

この一言があるだけで、スカウトの印象は大きく変わります。逆にその理由が見えないまま会社説明が続くと、「同じ職種の方へ広く送っているのかな」という印象を持ってしまうこともあります。

もちろん、スカウトをすべて一から作成するのは現実的ではありません。ある程度テンプレート化することも必要です。だからこそ、そのテンプレートの中に少しでも「あなたに送った理由」を加えるだけで、受け取る側の印象は大きく変わります。私は、その小さな違いが返信率以上に、企業や採用担当者への印象を左右すると感じています。

スカウトも「コミュニケーション設計」

冒頭で紹介したセミナーで学んだ「応募してみようと思ってもらえるコミュニケーション設計」という考え方は、今でも私の中に残っています。求人票もスカウトも、本質は同じです。企業が伝えたいことを並べることが目的ではありません。

相手が知りたいことを、知りたい順番で届けること。

その結果として「少し話を聞いてみようかな」「求人を詳しく見てみようかな」という次の行動につながります。私自身、RPOとしてスカウトを作成するときは、最初から応募の意思を確認したり、面談のお約束をいただくことをゴールにはしていません。まずは「少し気になる会社だな」「もう少し話を聞いてみようかな」と思っていただくこと。そのため、スカウトの最後も「もしご興味をお持ちいただけましたら、まずは情報交換から始めませんか」というニュアンスでお送りすることがほとんどです。

採用は、企業が人を選ぶだけのプロセスではありません。候補者にも企業を知り、選ぶ時間があります。だからこそ、最初の接点であるスカウトも、一方的に伝えたいことを届けるのではなく、相手の心理や意思決定の流れを尊重したコミュニケーションでありたい。これからも、その姿勢は大切にしていきたいと思っています。

この記事のまとめ
  • 「ご経歴を拝見しました」の次に、なぜあなたに送ったのかの一文を添える
  • 送り手の効率だけでなく、候補者の意思決定の流れを尊重する
  • テンプレートの中にも「For You」を一言加えるだけで印象が変わる
  • スカウトの本質は、相手が知りたいことを知りたい順番で届けること
スカウトの一通に、専門家の視点を
Gratias Supportは、RPO専門家が候補者の心理を踏まえた
採用コミュニケーションの設計から実行までを支援します。

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