採用管理をどうやっていますか?と聞くと、多くの会社から返ってくる答えがスプレッドシートで管理しています、です。シンプルで使い慣れたツールだし、コストもかからない。最初のうちはそれで十分まわります。ただ、採用活動を続けていくうちに、じわじわと問題が出てきます。
スプレッドシートで採用管理をすることの何が問題か
スプレッド自体が悪いわけではありません。問題は、採用という業務の性質とスプレッドシートの相性にあります。
採用は、応募者とのメールのやり取り、面接官への連絡、評価コメントの共有、日程調整など、多くの情報が複数の場所に分散しやすい業務です。スプレッドシートはあくまで表を管理するツールなので、こうした情報の流れを一本化することができません。
応募者の情報はスプレッドシートにあるが、面接官とのやり取りはメールに、評価コメントはチャットに、日程調整は別のカレンダーに。どこに何があるかわからない状態で採用が進んでいく。
これが情報の分散です。採用担当者一人がすべてを把握していれば辛うじてまわりますが、担当者が休んだり辞めたりした瞬間に、引き継ぎができなくなります。
担当者が変わると、採用はゼロからやり直しになる
スプレッドシート管理の最大のリスクは、採用のノウハウが個人の中にしか蓄積されないことです。
このエージェントからは質の高い候補者が来る、このポジションはこのチャネルで採れた、この面接官の評価は厳しめだから補正が必要。こういった知見は、長く採用を担当してきた人の頭の中にあります。スプレッドシートには入っていません。
担当者が変わると、こうした暗黙知はすべて失われます。新しい担当者はまたゼロから試行錯誤を繰り返すことになる。採用のたびに同じ失敗をして、同じコストをかける。これが多くの会社で繰り返されています。
データが蓄積されても、活用されない
スプレッドシートで何年も採用管理をしていると、膨大なデータが蓄積されます。何人応募して、何人が面接に進んで、何人が内定を受諾したか。
ただ、そのデータは記録としてあるだけで、分析に使われることはほとんどありません。どのチャネルからの応募者が最終的に採用されているか、どのフェーズで候補者が離脱しているか。こうした問いに答えようとした瞬間、スプレッドシートでは手作業での集計が必要になり、誰もやらなくなります。
データはあるのに、次の採用に活かされない。これがスプレッドシート管理の本質的な問題です。
「うちは小規模だからこれで十分」という会社へ
採用人数が年間数名程度であれば、スプレッドシートでも十分まわります。問題が顕在化するのは、採用が本格化したタイミングです。
採用目標が増えた、複数のポジションを同時に採用することになった、採用担当者が増えてチームで動くことになった。こういったタイミングで、スプレッドシート管理の限界が一気に露呈します。
そのときになって慌てて仕組みを整えようとしても、すでに情報は散らばり、ノウハウは属人化し、データは使えない状態になっています。採用が本格化する前に仕組みを整えることが、結果的に最も効率的です。
ツールを変える前に、まず何を管理するかを決める
スプレッドシートの限界を感じた会社が次に取る行動として、ATSの導入があります。ただ、ツールを変えただけでは問題は解決しません。
何を管理するか、どういう粒度でデータを入れるか、誰がどう使うか。これが決まっていないままATSを入れても、使われないまま終わるか、スプレッドシートと同じ使い方をするだけになります。
ツールの前に設計が必要です。自社の採用活動において何が課題で、どんな情報を蓄積して、それをどう次に活かすか。この設計ができて初めて、ツールが機能します。
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まとめ
- 情報が分散し、どこに何があるかわからない状態になる
- 担当者が変わると採用のノウハウがゼロになる
- データが蓄積されても活用されず、次の採用に活かされない
- 採用が本格化したタイミングで限界が一気に露呈する
採用が小規模なうちに仕組みを整えておくことが、長期的には最も効率的です。まず何を管理するかを設計することから始めてみてください。

